先に結論|畳の部屋でもベッドは使えますが、「畳ベッド」と「介護用のベッド」は目的が違います
→ 畳ベッドを検討
→ 電動ベッドを検討
→ 特殊寝台も含め専門家に相談
大切なのは、畳の部屋だから畳ベッドを選ぶのではなく、使う方の身体状況と必要な機能からベッドを選ぶことです。畳のへこみ、ベッドの安定性、車いすや介助者の動線、電源位置まで確認してから設置しましょう。
「畳の部屋に介護ベッドを置いても大丈夫?」「布団からベッドに替えるなら畳ベッドの方が良い?」と迷う方もいるのではないでしょうか。
長く布団で生活してきた方にとって、畳のある和室は落ち着きやすい空間です。一方、起き上がりや立ち上がりに負担を感じるようになると、床に敷いた布団よりも高さのあるベッドや、背上げができる電動ベッドの方が使いやすい場合があります。
私はベッド・家具ショップオーナーで、睡眠環境・寝具指導士の資格を保有しています。この記事では、畳の部屋でベッドを使うときの考え方、畳ベッドと電動ベッド・介護保険の特殊寝台の違い、設置前に確認したいポイントを、寝具選びの立場から分かりやすく解説します。
目次
畳の部屋で介護ベッドは使える?
畳の部屋でも、ベッドを設置できる場合があります。ただし、「和室だから置ける」「畳の上ならどの介護ベッドでも大丈夫」と一律には判断できません。
ベッド本体の重量に加えて利用者の体重がかかるため、畳へのへこみや傷、脚部の安定性を確認する必要があります。電動ベッドでは電源コードの取り回しや、可動部の周囲に物を置かないことも重要です。
床保護材を使用する場合も、厚すぎたり柔らかすぎたりするものはベッドの安定性に影響する可能性があります。ベッドメーカーの設置条件を優先し、畳の状態も確認したうえで設置してください。
まず「畳ベッド」と「介護用のベッド」を分けて考える


| 種類 | 主な特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 畳ベッド | 床板部分が畳になっており、敷布団を使える商品が多い | 布団に近い寝心地を残しながら、床から高さを出したい場合 |
| 一般販売の電動ベッド | 背上げ・脚上げなどの商品があり、起き上がりを補助しやすい | 布団からの起き上がりがつらく、電動機能を使いたい場合 |
| 介護保険の特殊寝台 | サイドレールを取り付けられ、背・脚の角度調整または床板高さの無段階調整など、制度上の要件がある | 身体状況に応じた介助・移乗などを考え、福祉用具として選ぶ場合 |
厚生労働省では、介護保険の福祉用具貸与の対象となる「特殊寝台」を定めています。一般に販売されている電動ベッドと、介護保険制度上の特殊寝台は同じ意味ではありません。
参考:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」/厚生労働大臣が定める福祉用具貸与等の種目
畳の部屋にベッドを置く前に確認したい6つのポイント

畳の上でベッドを使うときは、ベッドだけを見るのではなく、部屋全体を確認します。特に次の6点が重要です。
畳ベッドが向いているケース
畳ベッドは「介護が必要な人専用のベッド」ではありません。一方で、床に布団を敷く生活からベッドへ移行したい方には選択肢になります。
たとえば、布団の寝心地が好きで、床からの立ち座りだけを少し楽にしたい場合には、敷布団を使える畳ベッドが候補になります。
ベッドの高さは座りやすさ・立ち上がりやすさで選ぶ

使いやすいベッドの高さは、身長だけで決まるものではありません。ベッドの端に座ったときに足裏が床に安定してつくか、立ち上がりや移乗を無理なく行えるかなど、実際の動作を確認して選ぶことが大切です。
畳ベッドでは床面高+畳+敷布団の厚み、電動ベッドでは床面高+マットレスの厚みまで含めた実際の座面の高さで確認しましょう。身体状況によって適した高さは異なるため、介助が必要な場合はケアマネジャーや福祉用具専門相談員などにも相談すると安心です。
手すりが必要なら「ベッドガード」と混同しない
ここは安全上とても重要です。サイドレール(ベッドガード)と、起き上がり・立ち上がりを補助するベッド用手すりは役割が異なります。
| 用具 | 主な役割 |
|---|---|
| サイドレール | ベッドからの落下や寝具のずれ落ちを防ぐために使用 |
| ベッド用手すり・グリップ | 起き上がり・立ち上がり・移乗などの動作を補助 |
厚生労働省でも、特殊寝台の「サイドレール」と「ベッド用手すり」は役割を分けて整理しています。一般の畳ベッドに付属するベッドガードを、立ち上がるときに体重をかける手すりとして使用できるとは限りません。必ず商品の用途・耐荷重・取扱説明書を確認してください。
参考:厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具等の取扱い」
起き上がりを補助したいなら電動ベッドも選択肢

布団から起き上がる動作がつらい場合や、上体を起こした姿勢を取りたい場合は、畳ベッドだけでなく電動ベッドも比較してみましょう。
背上げ機能があれば、寝た状態から上体を起こす動作を補助できます。ただし、電動機能が付いていれば誰にでも適しているわけではありません。身体状況や介助方法によって必要な機能は異なります。
電動ベッド「ラクライト」を例に見る機能
ベッド・家具通販セラピスで掲載している「ラクライト」は、一般販売の電動ベッドです。介護保険制度上の特殊寝台として紹介している商品ではありません。
| 確認項目 | ラクライトの商品ページ記載内容 |
|---|---|
| 本体サイズ | 約 幅102×長さ221×高さ87cm |
| 床面高 | 4段階で調節可能(組立時に設定) |
| 背上げ | 0~70度の電動無段階調整 |
| モーター | 1モーター・2モーターから選択 |
| サイドガード | 2本付属 |
| 通常使用荷重 | 約70kg |
ラクライトは商品ページ上で和室にも合わせやすいデザインとして案内されていますが、実際に畳の上へ設置するときは畳の状態、安定性、床保護、利用者の体重なども確認してください。また、現在の商品ページでは在庫表示と取扱状況の表示が一致していないため、最新の販売状況は商品ページまたは店舗へご確認ください。
ほかの電動ベッドも含めて比較したい方は、以下の一覧から確認できます。
本格的な介助が必要なら特殊寝台も検討する
移乗介助が必要、身体状況に合わせてベッドの高さを細かく変えたい、専用のベッド用手すりや付属品が必要といった場合は、一般の畳ベッドや電動ベッドだけで決めず、介護保険の「特殊寝台」も含めて検討してください。
厚生労働省では、特殊寝台とその付属品を福祉用具貸与の対象種目として定めています。介護保険での貸与には要介護度などの条件があり、身体の状態によって例外的に対象となる場合もあります。
介護保険を利用している、または利用を検討している場合は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに相談して、本人の身体状況と部屋の環境に合うものを選ぶことをおすすめします。
介護ベッドのサイドレール・手すりはすき間にも注意
介護ベッドでは、サイドレールや手すりとマットレス、ヘッドボードなどの間に身体が挟まる事故が報告されています。
消費者庁は、首・手足などの挟み込み事故に注意するよう呼びかけています。使用前には、ベッド本体と付属品の組み合わせ、すき間、利用者の身体状況を確認してください。
安全のためのチェック
- サイドレールとマットレスのすき間を確認する
- ヘッドボードとのすき間を確認する
- 電動操作の前に手足の位置を確認する
- 手元スイッチを安全な場所に置く
- メーカー指定以外の組み合わせを安易に使用しない
参考:消費者庁「介護ベッドと柵や手すりとの間に首などが挟まれる事故に注意」
畳の部屋でベッドを使うときのよくある質問
畳の上に介護ベッドを直接置いても大丈夫ですか?
介護には畳ベッドと電動ベッドのどちらが良いですか?
ベッドの高さはどう選べば良いですか?
ベッドガードにつかまって立ち上がっても大丈夫ですか?
介護保険で電動ベッドを借りられますか?
まとめ|畳の部屋でも身体状況に合ったベッドを選ぶ
畳の部屋でも、条件を確認すればベッドを使える場合があります。ただし、介護を考えたベッド選びでは「和室だから畳ベッド」と決めるのではなく、使う方がどの動作に困っているのかから考えることが大切です。
- 布団の寝心地を残して床から高さを出したい → 畳ベッド
- 背上げなどで起き上がりを補助したい → 電動ベッド
- 移乗や本格的な介助、専用付属品が必要 → 特殊寝台も含め専門家に相談
また、畳のへこみやベッドの安定性、介助動線、電源、サイドレールのすき間なども購入前に確認しましょう。

