日本には四季以外にも、梅雨や台風の季節がありますし、冬は結露や加湿器の使用によって湿度が高くなります。
ベッド周りの湿度が高くなると、マットレス内部にカビやダニが増殖する原因になり、カンジダ症(水虫)やアスペルギルス症、各種真菌症、シックハウス症候群、喘息、呼吸器系アレルギーを引き起こす原因になります。
私はベッドショップオーナーで、睡眠・寝具指導士、睡眠・寝具インストラクター、寝具ソムリエの資格を持っていますが、ベッド周りの湿気対策は健康な睡眠環境を整えるうえで不可欠だと考えています。
そこでこの記事では、ベッドの湿気によって受ける悪影響やベッドの湿気対策、湿気に強いベッドの選び方及びおすすめ商品をご紹介します。
湿気によるベッドの悪影響
ベッド周りの湿度が高い状態を維持すると、カビやダニの増殖を助けてしまいます。
カビやダニは見た目に汚らしい、刺されて痛いと言った事だけでなく、様々な健康被害を引き起こします。
また、寝具内の湿度があがるため良質な睡眠が取りずらくなるので、詳しくご説明します。
湿気とカビの関係性
ベッドにカビが繁殖すると、カンジダ症(水虫)やアスペルギルス症、各種真菌症、シックハウス症候群、喘息等のアレルギー疾患を引き起こす危険があります。
(文部科学省 カビの分類学的位置より引用)
人間は寝ている間にコップ一杯分の汗をかきますが、汗はマットレスを通って床板に届きます。
そのためベッド周りで一番カビやすいのは、マットレスと床板の接触面です。
カビが繁殖する条件には、温度や湿度、餌、酸素がありますが、人間とカビが快適に感じる温度領域は似ているので、カビ対策として有効なのは除湿と掃除です。
カビは湿度60%以上で繁殖を始めて、80%を越えると一気に増殖します。
そのためカビの増殖を抑える目安としては、四季を問わず湿度60%未満を維持する事が大切です。
湿気とダニの関係
呼吸器系アレルギーの原因とされるヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの最適飼育条件は250C,75% RHであり, 350Cを越える温度や36%RH以 Fでは繁殖できずに死滅します。
カビに比べて乾燥に強いダニですが、湿度を出来る限り低くする事で繁殖を抑える事が出来ます。
ダニの餌はほこり、人のフケ、アカ、その他有機物等に加えて、食べ物全般です。
ダニの死骸や糞はアレルゲンとなり、喘息やアトピー性皮膚炎の原因となります。
またダニはカビも餌にするので、湿度が高いとカビとダニ両方の健康被害を受ける可能性があります。
ダニの増殖を防ぐには、シーツ類を小まめに洗濯すると共に湿気を抑える事が大切です。
寝床内環境の悪化
マットレスと布団に囲まれた寝具内の環境を【寝床内環境】と言います。
快適な睡眠を得る最適な温湿度は、温度33度、湿度50%ですが、湿気が籠る事寝返りの際にでシーツが体にまとわりついたり、寝汗をかくなど不快に感じます。
良質な睡眠を得るためにも、ベッドの通気性を良くして一定の湿度を保つ事が大切です。
ベッドの湿気対策10選
カビやダニを防止するには、シーツ類を小まめに洗濯する事に加えて、ベッドに溜まっている湿気を追い出すのが重要です。
ベッド周りの湿気対策としては、
- 室内の換気をする
- エアコンを使う
- 収納付きベッドは定期的に開ける
- マットレスを立てかける
- マットレスを裏返す
- サーキュレーターを使う
- 除湿シートを使う
- ベッドパッドを敷く
- 洗濯・天日干しをする
- 布団乾燥機を使う
と言った事が効果的です。
1.室内の換気をする
毎朝起きたら、窓を開けて部屋を換気しましょう。
外気を入れる事で、マットレス内部の通気性が良くなり湿気対策となります。
冬場など寒い季節に窓を開けるのは嫌かもしれませんが、窓を5cm程度開けて5分程度換気をするだけでも、部屋の湿度を下げる事が出来ます。
2.エアコンを使う
外が雨の日には、窓を開けると雨が室内に入ってくることもありますよね?
そんな時には、エアコンの除湿(ドライ)機能を使って、部屋の湿度を下げるようにしましょう。
また冬場の結露による湿気を防ぐためにも、エアコンは効果的です。
3.収納付きベッドは定期的に開ける
引き出し式収納ベッドやチェストベッド、跳ね上げ式ベッドは人気が高いですが、ベッド下が密閉されているので湿気がこもりやすい性質があります。
梅雨の晴れ間などは、引き出しを開けたり、跳ね上げ式ベッドであれば収納庫を解放するなどして、ベッドに溜まっている湿気を外に出しましょう。
4.マットレスを立てかける
使用しているマットレスの底部分に湿気は溜まりやすいので、定期的に立てかける事が湿気対策には大切です。
立てかける事で、床板部分に溜まっている湿気も同時に乾燥させることが出来ます。
5.マットレスを裏返す
マットレスの寿命を延ばす方法として、「マットレスを2,3カ月に一回裏返す(ローテーション)」がありますが、これは湿気対策としても有効です。
裏返す事で、底面に溜まっている湿気が表面にくるので空気に触れて乾燥しやすくなります。
6.サーキュレーターを使う
ベッド下の湿気を強制的に下げるためには、強い風を送り出すサーキュレーターが効果的です。
ベッド下に収納ケースなどがある場合は全てどけてから、サーキュレーターで強い風を送り込みましょう。
またマットレスを立てかけている時にも、風を送り込む事で早く中まで乾燥させる事が出来ます。
7.除湿シートを使う
マットレスの湿気予防に効果が高いのが、除湿シートです。
除湿シートにはシリカゲルやベルオアシスと言った乾燥材が入っているので、マットレスと床板の間に敷く事で、寝汗を効率的に吸収する事が出来ます。
湿気が溜まると、センサーが教えてくれるので定期的に天日干しをして、吸水力を回復させましょう。
8.ベッドパッドを敷く
8,363円~
ベッドを使用する際に、シーツとマットレスの間にベッドパッドを敷くと寝汗を吸収してくれるので湿気対策になります。
特に抗菌・防ダニ仕様のベッドパッドであれば、カビやダニの繁殖も抑えてくれるので一石二鳥です。
9.洗濯・天日干しをする
掛け布団や毛布、枕、シーツ類・ベッドパッドにも汗は染み込んでいるので、しっかり洗濯してから天日干ししましょう。
掛け布団や枕は、予め洗濯機で丸洗い出来るものを選んでおくと、衛生的に使う事が出来ます。
10.布団乾燥機を使う
熱風をマットレスや布団に送り込むので、表面だけでなく中身や裏面までしっかりと乾燥出来ます。
またベッドの湿気はカビだけでなくダニが繁殖する要因にもなりますが、布団乾燥機で60度以上の温度にすると死滅します。
布団乾燥機を使用した後の寝具は、ダニの死骸がたくさん付着しているので、掃除機を丁寧にかける事でアレルギー対策になります。
湿気に強いベッドの選び方
24時間換気が付いているマンションでは、比較的室内の湿度は一定ですが、一昔前のマンションは24時間換気がない上に気密性が高いので湿度が高くなりがちです。
そのため室内やベッドの通気性を良くするだけでなく、そもそも湿気やカビに強いタイプのベッドを選択するのも1つの方法です。
湿気に強いベッドの特徴としては、
- 床板がすのこ
- ベッド下に収納がない
- 脚がついている
- マットレスの通気性が良い
- マットレスが防カビ・抗菌仕様になっている
があり、これら全てを兼ね備えているベッドは梅雨時でも安心して使う事が出来ます。
1.床板がすのこ
高温多湿の日本では夏場になるとすぐにマットレスの裏側にカビが生えるため、「すのこベッド」が生まれました。
すのこベッドは床板に隙間を作る事で、そこから空気が入り込むために湿気に強くなっています。
今では多くのベッドの床板がすのこ仕様になっているので、種類も豊富ですしデザイン性に優れた商品も多くあります。
2.ベッド下に収納がない
利便性を考えるなら収納がある方が良いですが、収納部分が空気の通り道を塞ぐので、湿気には弱くなります。
そのため収納機能がないベッドの方が、通気性に優れています。
収納ベッドの湿気対策
収納ベッドをお使いの場合には、収納庫に乾燥剤を入れる事で湿気対策をする事が出来ます。
また、ベッド下に収納ボックスを詰め込んでいる場合も同様なので、収納ボックスを入れる時には床板との間に隙間を作るようにしましょう。
3.脚がついている
ベッドにはフレーム全体で支えているものと、脚で支えている2種類があります。
フロアベッドやチェストベッドなどフレーム全体で支えているベッドは、フレームが空気の通り道を塞いでしまうため通気性が悪くなっています。
湿気に強いベッドを選ぶのであれば、脚がついているタイプがおすすめです。
4.マットレスの通気性が良い
マットレスのカタログを確認すると、「通気性が良い」と記載されているものがあります。
人気の高いマットレスには、「ボンネルコイルマットレス」と「ポケットコイルマットレス」がありますが、通気性が良いのはボンネルコイルマットレスです。
またマルチラススーパースプリングマットレスなどのフランスベッド社製マットレスも、コイルが連結しているので通気性は良くなっています。
マットレスをフローリングに直置きするのはNG
いくら通気性が良いマットレスを使用しても、マットレスをフローリングに直置きするのはやめましょう。
フローリングに直置きすると、寝汗がマットレスの裏面とフローリングの間に溜まり乾燥せずに湿った状態になります。
マットレスだけでなく、フローリングを傷める原因にもなるので注意しましょう。
>>マットレスを直置きした時のカビ対策&インテリア実例集【寝具指導士推奨】
5.マットレスが防カビ・抗菌仕様になっている
マットレスの生地自体が防カビ・抗菌仕様になっていると、多少の湿気でもカビが生えにくくなります。
スタンダードタイプのマットレスは抗菌仕様になっていませんが、国産やプレミアムと言ったマットレスでは抗菌・防ダニ加工が施されています。
またフランスベッド社製のマルチラススーパースプリングマットレスは、抗菌・防臭・防ダニ加工が施されている上に、衛生マットレスとして全日本ベッド工業会の認定を受けているのでおすすめです。
湿気に強いおすすめすのこベッド7選!
これらを踏まえたうえで、湿気に強いすのこベッドを7つピックアップしてみましたのでご紹介致します。
総桐すのこベッドKirimukuキリムク【フレームのみ】
サイズ | カラー | 価格 |
セミシングル~ワイドK280 | ナチュラル | 33,781円~ |
Kirimukuキリムクは、天然木の桐で作られたすのこベッドです。
桐は吸放湿性に優れていて、湿度が高い季節は寝具内の余分な湿気を吸収してサラサラと快適な寝心地にしてくれます。
ベッド下には十分な空間が広がっていて、四方八方から新鮮な空気を取り込む事が出来ます。
北欧デザインコンセント付きすのこベッドStogenストーゲン
北欧デザインコンセント付きすのこベッドStogenストーゲン
サイズ | カラー | 価格 |
シングル | ナチュラル | 48,737円~ |
高いインテリア性で人気のすのこベッドとしては、Stogenストーゲンがあります。
北欧産のパイン材を使用したフレームは、見た目に暖かみがあり適度に入った木の節と無垢材の色味が寝室を明るい雰囲気にしてくれます。
床板は吸放湿性に優れた桐を採用しているので、いつでも寝床内環境を最適に保つ事が出来ます。
すのこベッド 高さ調節可能『香凛 かりん』ナチュラル 無塗装 ヒノキ
【新】すのこ ベッド 木製 日本製 国産 宮付 ひのき 香凛 かりん
サイズ | カラー | 価格 |
シングル~ダブル | ナチュラル | 43,206円~ |
『香凛 かりん』は吸放湿性に優れている天然木のひのきを使用していて、無塗装なので湿気やカビに非常に強くなっています。
また、床板もすのこで収納などの機能がなく、四方八方どこからでも風が通るのでマットレスが湿気る心配はほとんどありません。
また天然木のひのきには、リラックス効果や抗菌効果があるので、快適な睡眠を取るには最適です。
棚・コンセント付きデザインすのこベッドCamilleカミーユ
棚・コンセント付きデザインすのこベッドCamilleカミーユ
サイズ | カラー | 価格 |
シングル~ダブル | ナチュラル、ブラウン | 36,786円~ |
湿気に強くだけでなく高いインテリア性を兼ね備えているのが、Camilleカミーユのデザインすのこベッドです。
床板は天然木のすのこを使用して、吸放湿性に優れていて快適な睡眠を取る事が出来ます。
脚は、北欧家具をモチーフにした円錐形のスタイリッシュなデザインを採用。
ユーズドデザインすのこベッドJackTimberジャック・ティンバー
ユーズドデザインすのこベッドJackTimberジャック・ティンバー
サイズ | カラー | 価格 |
シングル~ダブル | ブラウン | 49,312円~ |
ユーズドデザインが魅力的なのが、JackTimberジャック・ティンバー。
使い古したようなユーズド感いっぱいの木目が、他のベッドにはない独特の雰囲気を醸し出しています。
床板は頑丈なすのこなので、マットレスだけでなく敷布団で寝る事も可能。
棚・コンセント付きデザインすのこベッドAlcesterオルスター
棚・コンセント付きデザインすのこベッドAlcesterオルスター
サイズ | カラー | 価格 |
シングル~ダブル | ウォールナットブラウン、ホワイト、ブラック、ナチュラル、ライトグレー、ダークグレー | 37,167円~ |
Alcesterオルスターは、カラーバリエーションが豊富なすのこベッドです。
床板はすのこ仕様で、布団にも対応しています。
マットレスも10種類あるので、お好みの硬さや寝心地を選ぶ事が出来ます。
北欧デザインローベッドNooraノーラ
サイズ | カラー | 価格 |
シングル、セミダブル | ホワイト、ナチュラル | 52,181円~ |
女性に人気が高い北欧風ローベッドが、Nooraノーラです。
ステージタイプを選べるので、フレーム幅を広くすれば通気性だけでなく見た目もスッキリ出来ます。
まとめ
ベッドに湿気が溜まると、マットレスの裏側にカビやダニが繁殖してアトピー性皮膚炎や喘息の原因となるだけでなく寝床内環境が悪化して睡眠の質が低下します。
ベッドパッドや除湿シートを使う、部屋の換気をするなどして、ベッドの湿気対策を万全にしましょう。
湿気に強いベッドの選び方は
- 床板がすのこ
- ベッド下に収納がない
- 脚がついている
- マットレスの通気性が良い
- 防カビ・抗菌仕様
と言ったポイントがあります。