世の中にはさまざまな健康法がありますが、最近ベッドを斜めにする方法が注目を集めているので紹介しますね。
機械工学を専門とするイギリスのアンドルー・フレッチャー氏が1990年代半ばに開発したIBT(Inclined Bed Therapy)ベッド傾斜療法が、近年になって見直されてきています。
この方法は誰でも簡単に実践することができますし、面倒な準備も必要ありません。
単に頭が高くなるようにベッドの脚を持ち上げて、斜めの状態で寝るだけです。
斜めにすることで得られる効果に続いて、ベッドを斜めにする具体的な方法をご紹介したいと思います。
IBT(Inclined Bed Therapy)ベッド傾斜療法とは
ベッド傾斜療法とは、ベッドでレンガ、ウェッジ、またはブロックを使用してベッドの頭を4〜8インチ(約10㎝~20㎝)上げることです。
これは、脊髄損傷、腰痛、酸逆流またはGERD、副鼻腔炎および呼吸器疾患、睡眠時無呼吸、血行不良、低代謝、足の浮腫、その他多くの症状を含むさまざまな疾患に役立ちます。
(IBT(Inclined Bed Therapy)より引用)
ベッドを斜めする健康効果
ベッドを斜めにすると健康にさまざまな効果が期待できます。
研究によると、
- 循環器の病気
- 呼吸器の病気
- 糖尿病
- アルツハイマー病
- パーキンソン病
- 静脈瘤
- 慢性静脈不全
- 下腿潰瘍
といった病気を改善出来ると言われています。
また、むくみや不眠症、夜間の頻尿、頭痛などで悩んでいる人にもおすすめの健康法との事。
1997年の国際フェアで注目を浴びるようになったIBTは2000年、健康改善に大きな効果をもたらす健康法として、イギリスのテレビニュースでも報道された事で注目を集めるようになりました。
夜間の頻尿に効果
夜間の頻尿に関しては、多くの実験が費やさています。
研究によると、頭を上に傾けた姿勢で体に重力が加わると、夜間により多くの熱が発生します。
これが気道や皮膚からの蒸発を増加させるため、尿量が減少し、尿の密度が増加するので、夜間にトイレに置く頻度が少なくなるとの事です。
お年寄りの方は、寝つきが悪いだけでなく、夜中トイレに何度も起きますが、ベッドを斜めにする事で解消出来るかもしれません。
背部損傷の男性が歩けるようになった
背部損傷でほとんど足を動かせなくなった男性がIBT(Inclined Bed Therapy)ベッド傾斜療法を試したところ、立ち上がって歩けるようになったということです。
このような事例が紹介されたことにより、研究が進められるようになったのです。
人間が垂直に立っている場合、重力によって血液の循環を妨げることになります。
仕事などで長く立ち続けている人は、足の疲れやむくみといった症状を経験しているでしょう。
水平に寝ているだけでは、健康の維持は難しい
最新の研究では、水平に寝ているだけでは健康を維持するのが難しいとされています。
寝たままでは体を上手く動かすことができませんし、食事を摂取した時に消化に悪影響を及ぼすと言われています。
また、病気などでずっと寝たままの状態でいた場合、さまざまな悪い変化が体に起こってしまうということです。
病気の回復も遅れてしまいますし、結果として健康を害してしまうということです。
古代エジプト人もベッドを斜めにしていた!
実は、古代エジプト人も斜めにしたベッドを愛用していたと言われています。
博物館で確認することができますが、それらのベッドを見ると頭の方が高くなっていることが分かります。
さらに、低くなっている足の方にはガードがついており、体がずり落ちるのを防止していたということです。
古代エジプト人は健康のために傾斜ベッドを使用していたと言われており、頭の方は15センチ程度持ち上げられていることが分かりました。
水平に寝ているだけで健康を害する(NASAの研究)
NASA(米航空宇宙局)では宇宙飛行士を訓練したり、健康状態の変化を調べるために、人を横に寝せて頭の位置を上下させるなど、さまざまな実験を行っています。
NASAの研究によると、頭を下げるだけでなく、通常人が寝ている姿勢である体が水平の状態にするだけでも、健康を害する事が確認されています。
長期間病気で床に臥してしまうと、なかなか回復できない現実からも想像がつくように、体を横にした状態が維持されるのは良い状態とは言えません。
斜めベッドは医療現場でも利用されている
医療や介護の現場では、上半身を起こすことで斜めになるベッドが広く使われています。
逆流性食道炎や起立性低血圧の場合、上半身を起こして眠ることが大切です。
また、喘息も上半身を起こすと楽になることが多いです。
閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の場合、上半身を高くすることで睡眠時の呼吸が改善されることがあります。
上半身を高くすることで気道が塞がりにくくなるためと考えられています。
斜めのベッドだと寝返りがしにくいですし、寝心地が悪そうだと心配する人もいるでしょう。
しかし、実は健康な人でも水平のベッドではなく、斜めのベッドの方が質の高い眠りを得られるのではないかと言われています。
斜めベッドは高齢者に有益
高齢者の場合、上半身を起こして眠ることでさまざまなメリットがあります。
最近では将来の介護まで役立つ一般向けの電動ベッドも販売されているため、健康のためにも購入を検討するのも良いでしょう。
体を起こして寝ることで楽に呼吸が出来るメリットがあるため、息苦しさで悩んでいるなら体を起こすのがおすすめです。
呼吸を楽にしながら循環器にも負荷をかけないようにしたいという場合、上半身の下部を30度、上部を60度の角度にすることがポイントです。
そうすることで呼吸を楽にしながら、心拍数も増加しないため寝心地が良くなると言われています。
ベッドを斜めにする方法
そこで普段使用しているベッドの頭部分を持ち上げる事が推奨されるのですが、方法としては、ベッドの傾斜角5度を生み出すために、頭部分を15センチ持ち上げます。
角度が付いたマットレスを敷く
最近ではマットレス自体に傾斜を持たせた商品も販売されています。
こちらのマットレスは角度を3.5度にしてあり、丁度頭部が15cm高くなるようにしてあるので、傾斜ベッドを考えている方には最適です。
ベッドの下にブロックやレンガを敷く
ベッドの頭部分を持ち上げて、2本の脚の下にレンガやブロック、電話帳など約15㎝のものを入れてみるのも良いでしょう。
ベッドの高さを高くする専用のグッズもあるのですが、そう言ったものでは傾けると不安定になってしまうので、ブロックなどの方が安定性が良いです。
マットレスの滑り止めをする
レンガを使い傾斜をつけると、どうしてもマットレスや体がずり落ちてきてしまうので、寝る際には工夫が必要となります。
マットレスが滑らないように、裏に滑り止め加工が施されているシートを利用するのも良いですし、足元に滑り止めを作っても良いでしょう。
慣れるまで2週間程度必要
ベッド傾斜療法を開始して2週間程度は、体が慣れていないために筋肉痛や肩こりを引き起こすこともあります。
しかし同時に多くの人は、排尿の変化を体験します。
斜めの状態で寝ることで多くの老廃物が血液から取り除かれるようになりますし、尿が濃くなってたくさん排出されるということです。
水分が多く排出されるようになるため、しっかり水分補給をしましょう。
ベッド傾斜療法を試すと体に良い影響が出るだけでなく、ストレス解消など精神面にも好影響が期待できます。
ストレスで悩んでいるサラリーマンの方や、うつ病で苦しんでいる方も試してみると良いですよ。
斜めベッドまとめ
ベッドを斜めに傾ける事で、様々な健康効果が得られると言う研究結果があります。
IBT(ベッド傾斜療法)と呼ばれているこの手法は、レンガやブロックを使用してベッドの頭を4〜8インチ(約10cm~20cm)上げます。
ベッドを斜めにする事で、脊髄損傷、腰痛、睡眠時無呼吸、頻尿など多く疾患に役立ちます。
また循環や代謝、免疫力を高めるため、病気や怪我の回復に広く役立つと言われています。