一流ホテルのベッドメーカー5社|違いと選び方

一流ホテルのベッドメーカー5社|違いと選び方
  • 一流ホテルでは、どのマットレスメーカーが選ばれている?
  • シモンズ・シーリー・サータ・日本ベッド・フランスベッドは何が違う?
  • 自分の好みに合う「ホテルのような寝心地」はどう選ぶ?

ホテルで採用実績のある代表的なマットレスメーカーには、シモンズ、シーリー、サータ、日本ベッド、フランスベッドがあります。

ただし、寝具のプロとして最初にお伝えしたいのは、「一流ホテルで使われているメーカー=誰にでも最高のマットレス」ではないということです。

マットレスの寝心地は、コイルの構造・線径・配列・詰め物・表面のクッション性などで大きく変わります。同じメーカーでも、硬めからソフトまで寝心地は別物です。

私はベッドショップオーナーとして、睡眠環境・寝具指導士、睡眠・寝具インストラクター、寝具ソムリエの資格を持っています。この記事ではブランド名を並べるだけでなく、「なぜホテルで選ばれるのか」「他社と何が違うのか」「どんな方ならどのマットレスが候補になるのか」まで、寝具の構造を踏まえて解説します。

なお、ホテルの採用モデルは客室・導入時期・改装などによって変わります。この記事では、各メーカーの公式情報と家庭向け製品の特徴をもとに比較しています。

一流ホテルで選ばれるマットレスメーカー5社

5社はいずれも実績のあるメーカーですが、得意とする寝心地の作り方は同じではありません。まず違いを簡単に整理します。

メーカー 主な特徴 こんな方の候補
シモンズ ポケットコイルで点支持 自然なフィット感、二人寝の揺れを抑えたい方
シーリー 荷重に応じて反発力が変わるコイル設計 ソフト感と支えの両立を重視する方
サータ ポケットコイル・配列・詰め物の組み合わせが豊富 硬さやフィット感を細かく選びたい方
日本ベッド 超高密度ポケットコイル 細かなフィット感、繊細な寝心地を好む方
フランスベッド 高密度連続スプリング® しっかりした支持感、通気性を重視する方

ここからは、ベッド販売の現場で私が重視する「スプリングが身体をどう支えるか」という視点で見ていきます。

1.SIMMONS(シモンズ)|ポケットコイルの王道

SIMMONS(シモンズ)

シモンズは1870年にアメリカで創業し、1925年にポケットコイルマットレス「ビューティレスト」の量産化に成功したメーカーです。現在も国内外のホテルへの採用実績があります。

シモンズの特徴は、コイルを一つずつ不織布で包み、それぞれのコイルが独立して身体を「点」で支えることです。肩・腰・脚ではマットレスにかかる荷重が違いますが、独立したコイルが必要な部分だけ沈むため、身体の凹凸に沿いやすくなります。

また、コイル同士が一体で動く構造と比べて隣の人の寝返りによる振動が伝わりにくいので、ダブルやクイーンで二人寝する方にも相性の良い構造です。

シモンズが人気なのは単に「ホテルで有名だから」ではありません。線径やコイル高、詰め物を変えることで、同じポケットコイルでも寝心地を作り分けている点が強みです。つまり、ポケットコイルそのものを寝心地設計の中心に置いているメーカーと考えると分かりやすいでしょう。

こんな方はシモンズが候補

  • 身体のラインに沿う自然なフィット感が好き
  • 二人寝で相手の寝返りが気になりやすい
  • ホテルでよく体験するポケットコイルらしい寝心地を自宅でも求めたい

候補:ビューティレスト 6.5インチ系

最初の一枚として比較しやすいのが、ビューティレストの6.5インチポケットコイルを使ったモデルです。標準的な硬さからソフト寄りまで複数の仕様があるため、「シモンズなら全部同じ」と考えず、線径と詰め物まで確認してください。


2.Sealy(シーリー)|荷重に応じて支え方を変える

Sealy(シーリー)

シーリーの特徴は、単に柔らかい・硬いという一方向の考え方ではなく、身体から受ける荷重に応じて反発力を変える設計を得意としている点です。

代表的な「ポスチャーテックコイル」は、荷重が増えるにつれて反発力が高まる設計です。軽い部分にはやさしく、腰など荷重が大きくなりやすい部分にはしっかり反応させる考え方で、ホテル向けのコントラクト製品にも使われています。

上位のタイタニウムコイルは、この考え方をベースに耐久性とソフト感の両立を狙ったものです。さらにモデルによってセンターサポートやエッジサポート、上層のクッション材を組み合わせています。

ベッド販売の立場から見ると、シモンズとの違いは分かりやすいです。シモンズが「独立したポケットコイルの点支持」を中心に寝心地を作るのに対し、シーリーは「荷重に対する反発力と詰め物・ゾーニングの組み合わせ」で身体を支える考え方が強いメーカーです。

こんな方はシーリーが候補

  • 表面にはソフト感が欲しいが、腰まわりはしっかり支えてほしい
  • ふんわり感だけでなくサポート力も重視したい
  • ホテルらしい厚みやボリューム感のある寝心地が好き

候補:チタンコレクション

シーリーらしさを比較しやすいのが「チタンコレクション」です。タイタニウムコイルを採用し、モデルによってソフト感や詰め物構成が異なります。柔らかさを求める方はプラッシュ系、しっかり感を求める方はファーム系というように、表面の感触だけでなく身体を支える層まで見て選ぶのがポイントです。


3.Serta(サータ)|硬さ・フィット感を細かく作り分ける

Serta(サータ)

サータは1931年にアメリカで誕生したブランドで、日本ではポケットコイルを中心とした幅広いラインナップを展開しています。

サータの面白いところは、寝心地を「硬さ」だけで決めないことです。公式にも、硬さ・フィット感・ボリュームの組み合わせで寝心地を設計する考え方が示されています。

ポケットコイルの線径や配列、ゾーニング、さらに上層の詰め物を組み合わせることで、しっかりしたタイプから包み込まれるようなタイプまで幅を持たせています。

シモンズもサータもポケットコイルが中心ですが、選び方は少し違います。シモンズはコイル高や線径による違いが比較しやすい一方、サータはコイルと多層の詰め物を組み合わせた寝心地のバリエーションに強みがあります。

こんな方はサータが候補

  • ポケットコイルが好きだが、表面のフィット感にもこだわりたい
  • 硬め・柔らかめだけでなく、包まれ感まで比較したい
  • 厚みのあるホテルライクなマットレスを探している

候補:サータのポケットコイルシリーズ

サータはシリーズによる違いが大きいため、特定モデルだけを「万人向け」と決めるより、店舗で硬さ→フィット感→寝返りのしやすさの順に比較するのがおすすめです。仰向けだけでなく、普段よく取る横向き姿勢でも肩や腰の当たり方を確認してください。

4.日本ベッド|1,200個の超高密度ポケットコイル

日本ベッド

日本ベッドは1926年創業の国内メーカーで、ホテルや高級旅館への納入実績が豊富です。代表的な「シルキーポケット」は、シングルサイズで1,200個のポケットコイルを使う超高密度構造が特徴です。

一般的にポケットコイルは「点」で身体を支えますが、日本ベッドはその点をさらに細かくする方向で寝心地を作っています。コイル径を小さくして高密度に配置することで、身体の細かな動きや凹凸に追従しやすくしています。

ここがシモンズとの大きな違いです。同じポケットコイルでも、シモンズはコイルの高さ・線径などを変えて寝心地を作り分けるのに対し、日本ベッドのシルキーポケットは小径コイルを高密度に並べることで、より細かな点支持を狙う設計です。

こんな方は日本ベッドが候補

  • 身体への当たりが細かく、しなやかなフィット感が好き
  • ポケットコイルでもゴツゴツした感触は避けたい
  • 標準・ソフト・ハードを比較して自分に合う硬さを選びたい

候補:シルキーポケット レギュラー

最初に試すなら標準的な寝心地の「シルキーポケット レギュラー」が比較の基準になります。シングルで1,200個のコイルを使用し、ソフト・ハードも用意されているため、レギュラーを基準に硬さを上下させると選びやすいでしょう。


5.フランスベッド|面で支える高密度連続スプリング®

フランスベッド

フランスベッドは、ここまでの4社とはスプリングの考え方が大きく異なります。代表的な「高密度連続スプリング®」は、一本の鋼線を連続して編み上げた中空構造です。

ポケットコイルが一つひとつ独立したコイルで「点」に近い形で身体を受け止めるのに対し、高密度連続スプリング®はマットレス全体で荷重を受け止める「面支持」に近い感覚があります。そのため、腰など一部分だけが深く沈み込む感触が苦手な方や、しっかりした支持感を好む方に向きます。

もう一つ、私がフランスベッドを評価しているポイントが通気性です。コイルを不織布で一つずつ包まない中空構造なので、内部に空気の通り道を確保しやすく、高温多湿な日本では合理的な設計です。

また、フランスベッドは独自のFES規格を設け、高密度連続スプリングでは8万回の強打試験なども行っています。ホテルでは多数の宿泊客が繰り返し使用するため、寝心地だけでなく耐久性やメンテナンス性も重要です。こうした点もホテルで選ばれる理由の一つと考えられます。

こんな方はフランスベッドが候補

  • 沈み込みすぎない、しっかりした寝心地が好き
  • 寝返りのしやすさを重視したい
  • マットレス内部の通気性が気になる
  • 日本製や耐久性を重視したい

候補:フランスベッド高密度連続スプリング【R-ZERO】マットレス

フランスベッドらしい寝心地を候補にするなら、高密度連続スプリングを採用したマットレスを比較してください。SERAPIS-BEDで取り扱うR-ZEROも、その構造を採用した選択肢の一つです。

フランスベッド高密度連続スプリング【R-ZERO】マットレス

フランスベッド高密度連続スプリング【R-ZERO】マットレス

ポケットコイルの「身体のラインに細かく沿う感触」より、身体全体を安定して支える感覚を好む方は、シモンズや日本ベッドと寝比べると違いが分かりやすいでしょう。

結局どのメーカーを選べばいい?寝具のプロとしての選び分け

5社とも品質の高いマットレスを作っています。そのため「どこが一番上か」ではなく、自分が何を快適と感じるかで選ぶ方が失敗しにくくなります。

  • ポケットコイルらしい自然なフィット感:シモンズ
  • ソフト感と荷重に応じたサポート:シーリー
  • 硬さ・フィット感・ボリュームを細かく選ぶ:サータ
  • 細かな点支持と繊細なフィット感:日本ベッド
  • 面で支える安定感と通気性:フランスベッド

私がお客様におすすめするときは、ブランド名より先に「普段の寝姿勢」「今のマットレスの何が不満か」「硬めと柔らかめのどちらが好きか」「一人寝か二人寝か」を確認します。

例えば、横向き寝が多く肩の当たりが気になる方なら、表面にある程度のクッション性があるモデルから試します。一方、柔らかいマットレスで腰まわりが沈みすぎる感覚が苦手なら、支持力の高いモデルやフランスベッドの高密度連続スプリング®も比較候補になります。

ただし、体格だけで硬さを決めることはできません。同じ体重でも骨格・寝姿勢・好みは違います。可能なら10~15分程度は普段の寝姿勢で横になり、寝返りも試してください。

ホテルの寝心地を自宅で再現するなら「ダブルクッション」も注目

ホテルらしい寝心地を求める方が見落としやすいのが、マットレスの下です。

高級ホテルでは、マットレスの下にスプリングを備えたボトムを組み合わせる「ダブルクッション」が使われることがあります。シモンズも、マットレスとボックススプリングを組み合わせることで荷重を分散し、クッション性や通気性、マットレスへの負担軽減につながると説明しています。

つまり、ホテルで気持ちよく眠れた理由が「シモンズのマットレスだったから」だけとは限りません。マットレス+ボトム+ベッドパッド+シーツ+枕まで含めた寝床全体で寝心地が作られています。

自宅でホテルの寝心地を目指す場合も、マットレスだけに予算を集中させず、寝具全体のバランスを見ることが大切です。

この記事に合うセラピスの商品

ホテルのベッドに関するよくある質問

Q. ホテルで寝たマットレスと同じものを家庭用に買えますか?
A. 同じメーカーの家庭向けモデルは購入できますが、ホテル専用仕様と完全に同じとは限りません。
ホテル向けはサイズ・厚み・表生地などを施設ごとに変更している場合があります。気に入ったホテルがあるなら、まずホテルへメーカー名やモデル名を確認し、そのうえで家庭向けの近い仕様を探すのが確実です。
Q. 一流ホテルで使われるメーカーなら、どれを選んでも寝心地は良いですか?
A. いいえ。メーカーより「自分に合うモデルか」が重要です。
同じメーカーでも硬さ、コイル、詰め物、ピロートップの有無で寝心地は大きく変わります。ホテル採用実績は品質を見る材料の一つですが、自分に合うかどうかとは分けて考えてください。
Q. ポケットコイルと高密度連続スプリング®はどちらが良いですか?
A. 優劣ではなく、寝心地の好みで選びます。
ポケットコイルは独立したコイルによる細かなフィット感が特徴です。高密度連続スプリング®は身体を面で支える安定感と中空構造による通気性が特徴です。実際に寝比べると違いが分かりやすいでしょう。
Q. ホテルのベッドの足元にある帯は何ですか?
A. ベッドスロー、ベッドスカーフ、フットスローなどと呼ばれるものです。
現在の日本では装飾としての役割が中心です。詳しくはベッドの足元にある布についての記事をご覧ください。

まとめ

ホテルで採用実績のあるシモンズ、シーリー、サータ、日本ベッド、フランスベッドは、それぞれ寝心地を作る考え方が異なります。

シモンズは独立したポケットコイル、シーリーは荷重に応じたサポート、サータはコイルと詰め物の組み合わせ、日本ベッドは超高密度ポケットコイル、フランスベッドは高密度連続スプリング®による面支持が大きな特徴です。

ベッドショップを運営する私の立場からは、「一流ホテル採用」という言葉だけで選ぶことはおすすめしません。ホテルで快適だった理由を構造まで分解し、自分の寝姿勢や好みに合うマットレスを選ぶことが、ホテルのような寝心地を自宅で再現する近道です。